似非ノスタルジー

アーティスト@リーブル

この前のマリリンモンロー同様、サイレントにも白黒にも何の思い入れ(=ノスタルジー)も
無いので最初の1時間くらいは退屈で退屈で仕方なかった。

話はホントにベタベタ。サイレント映画のスターと彼に憧れる女優志望の女の子、時代は
サイレントが廃れてトーキーの時代にうつる時、頑に新しいものを拒んだ男と、新しい
流れにのってスターになった女の子。男は落ちぶれ、女の子は密かに男に手を差し伸べる
ものの、それを知った男は絶望する…でも最後はハッピーエンド。それだけ。

こんな一昔前のメロドラマを3Dでなんて誰も見たくない訳よ。モノクロでサイレントで
作られるべくして作られた。でも今の時代だからこそ、こういうベタベタの話が受け入れ
られるんだと思う。みんな疲れてるんだよ、昔はよかったって思いたいんだよ。全体的に
古い映画へのオマージュ(パクリではないのですよ)も散りばめてある。なので若い人が
見て面白いと思えるかはわかんない。ワタシも前半は微妙だったもの。

ジョージのデュジャルダンはなんとなくクラークゲーブルを彷彿させる面差し。スター
でいるときはそんなに魅力的じゃないんだけど、仕事がなくなって、妻に捨てられて
どんどん落ちぶれていく心の動きが表情や劇中劇にダイレクトに出て来てグサグサ来る。
自分ち放火すんなよ、などなど突っ込みどころはあるけど。

ペピーは口元が印象的。スターになってもおごること無く、落ちぶれたジョージを思い
続ける一途で純粋な性格を持たせることで見てる方に希望を持たせる。そしてまた
ジョージもペピーを思い続けていたことを知るシーンがとても素敵だった。

パルムドッグ賞(笑)の犬がよかった。撃たれて死んだふりするのかわいいなぁ。あと、
運転手のクリフトンがジョージにクビにされてもペピーの運転手を務めることで何とか
ジョージに寄り添おうとする忠誠心にぐっと来た。ジョングッドマン久しぶりに見たけど
元気そうね。