津軽海峡夏景色(5)美術館の定義とは

青森県内の美術館4館で横断的に現代アートのイベントをやっているので、そのうちの2館をこの
旅行に組み込んで楽しみにしていた。

まずは弘前れんが倉庫美術館へ。弘前中央駅のホームを通り抜けて美術館が見えてきたけど…何か
嫌な予感がする。美術館というにはちっちゃいんよ。元倉庫という煉瓦造りの建物が2棟、片方は
ショップとレストランなので、もう片方だけが美術館ということになる。芝生の広場にもアート
作品ぽいものが設置されているけど…ごめん、不用品とかゴミの寄せ集めにしか見えなくて凡人は
理解できない。

エントランス脇に奈良美智のA to Z Memorial Dog。これは無料で見られるのだけど、ここで
引き返せばよかったと後で後悔することになる。

企画展はワタシの大嫌いな蜷川実花(大嫌いなソフィアコッポラと同じ匂いがする)の写真展と白神
山地をテーマにした展示で外にある作品もその一部らしい。ここは収蔵作品がほとんどないので、
常設展の概念がなく企画展にしても展示室の広さがないので中途半端であっという間に見終わって
しまう。何も持たず企画展示しかいないならそこは美術館ではなく画廊、ギャラリーでしかない。
それなのに入場料が1500円(市内在住者は1000円)とか舐めてんのかとしか思えず、チケットの
代わりにシールを服に貼る、というのもいかにも都会のコンサルが思いついた手法ぽくて萎えるし、
これまでもこの後も無料または数百円でたくさん素敵なものを見たので余計腹立つね。

写真展もテーマが青森に絡めているとはいえ例の極彩色のリタッチしまくった写真、天井からぶら
下がった布と造花に画像を投影したり(さっとみて次に行こうとしたら「中に入ってご覧いただけ
ますけどいいですか?」と言われたりするのもなんだかなぁ)、お父さんが死にかけてた頃のこと
をポエムにして薄ぼんやりした写真と一緒に展示したり(こういうの表に出しちゃうんだ…)、真剣に
みてるわけでもないのに胸焼け。

白神山地の展示もよくわかんなかったね…もともと現代アートはあんまり理解できてないんだけど、
そもそも見てる方に理解してほしいと思って作ってないだろうし、向こうから殴りかかってくる
ような有無を言わせないような熱量も感じられない。

コンテンポラリー〇〇についてはこの前のNDTから見方が変わった気がする。見る方は事前にある
程度の知見があること、見せる方は圧倒的な熱量と才能が必要なんだ。ワタシは物を作り出す方の
人間ではないので、何かを作るだけで尊敬に値すると思ってるし、どんなクソ映画でも下手くそな
バレエでもつまんない絵でも何かしらのネタにできるタイプの人間だと思ってたし、お金に困って
いるわけでもないけど、今回だけは金と時間を返せと思ったね。こんなことなら閉館時間の関係で
行けなかったねぷた村に行けばよかった。

弘前中央駅に戻るとホームに金魚ねぷた電車が止まってた。かわいい。乗りたかったな。

駅前に戻って一休みしつつ水分補給。青森への戻りはいわゆる観光列車のリゾートしらかみを
予約してたけど、お弁当食べたり車内イベントとか日本海を見たりできるのは秋田の海沿いを
走ってる時だけ。弘前〜青森は普通の急行電車っぽい感じで、仕事や学校帰りみたいな人の
方が多かった。

リゾートしらかみは3種類のデザインがあって、ワタシが乗ったのは橅(ブナ)。外観は橅の木を
イメージしたグリーン系、内装は東北の夏祭りをイメージしたオレンジ系なんだそう。

#202407青森